一身独立の記

失われた記憶

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休暇でハワイに行ったついでに、とうとうパールハーバーに行ってきた。

とうとう、というのはこれまで何度もハワイには行ってきたけど、あえてパールハーバーは避けてきたからだ。

なぜ避けてきたのか、今考えるとぼくもはっきりとは分からない。

なんとなく、日本人としての罪悪感があったり、日本人が猿か悪魔のように描かれている展示物があるのかと思っていたり、アメリカ人に怒られるんじゃないか、とか思ったりしていたかもしれない。

しかも、今回は幼い子どもを2人連れた家族旅行である。それでも行ってきたのは、安倍首相が昨年末に訪問したというニュースを見てふと思い立ったのと、いろいろ調べていくうちに青山繁晴氏の 逆転ガイド という本で、今回安倍首相も訪れたビジターセンターが極めてフェアにアメリカと日本双方の立場を説明していると紹介されていたこと。そして何より、前回の投稿で息子から素朴な疑問を投げかけられたことからだった。

ある程度青山氏の本で内容は想定できてはいたが、パールハーバーのビジターセンターに行ってみるとまさに、目からウロコの連続だった。当時の日本とアメリカが開戦に至った経緯が公平に描かれていたからだ。日本が悪で周りの国々を侵略し、アメリカにも戦争をしかけたと刷り込まれている日本ではなく、ここアメリカの地で当時の日本の立場が明確に示されていたからだ。下記にそのいくつかを紹介したい。

”空母の夜明け”
日本が真珠湾攻撃により戦艦の時代に終止符を打ち、空母の時代がはじまったとはっきりと書かれている。日本は航空機を搭載した複数の空母で編成された艦隊を北のほうから真珠湾に接近した。真珠湾に停泊中の艦隊は空からの攻撃には全くの無力であった。この攻撃に世界が驚き、これまでの戦争のやり方を一変させたのである。
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"View From Japan"
日本とアメリカ双方立場から戦争に至った経緯が説明されている。戦争の解釈は一つではない。それぞれの立場から国益を追求した結果であって、双方の立場を説明するというスタンスはとても公平なものだといえる。
「1941年、日米両国は平和にむけて努力したが、危機は深刻なものとなっていった。」
「日本にとって、アメリカの石油の経済制裁が日本の存亡に関わると考えていた」IMG_2440

”当時の太平洋における軍事力の比較”
- 上から、空母、戦艦、巡洋艦、駆逐艦、潜水艦、戦闘機、兵数 の順に日本とアメリカの太平洋における軍事力を比較している。(左の熱心に一つずつ数を数えている子供は6歳の息子。)開戦当時は日本のほうが勝っていた。このような視点は決して日本では学ぶことはできないが、当時の敵国だったアメリカから学べるという皮肉な現状である。

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”空母赤城”
緻密な模型で日本兵一人ひとりの表情まではっきりと伝わってくる。
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ビジターセンターは2つに別れて構成されており、そのどちらもこれまで日本の学校で教えられてきた戦争の歴史と180度違う歴史を見ることができる。

”真珠湾攻撃のドキュメント映像”
- 真珠湾攻撃については日本ではその戦果についてはあまり意味がなかったかのように、無視されてきたが、日本軍が極めて精緻で斬新な計画と高度に訓練された軍隊により大成功を収めたことが紹介されている。

この展示を見ながら、ぼくはまるで記憶喪失になっていた自分自身の過去をここパールハーバーで思い出したような感覚をおぼえた。いやむしろぼくをふくめて日本全体が敗戦後、ある意味記憶喪失になっていたといってもよいのではないだろうか。

過去や失敗に学ぶことはとても大事なのに、日本ではこれまであまりにも一方的に戦争=日本=悪と決めつけ、思考停止してしまっていた。この間の戦争について、少しでも本当のところはどうったのか、ロジカルに考えようとするだけで「極右」などのレッテルが貼られ、そうした勢力にマスコミもながく支配されてきた。しかしここパールハーバーのビジターセンターではどちらかを一方的に”悪”だとするような表現は一つも見受けられない。太平洋をはさんで、必死にその時代を生き抜こうと努力した2つの大国がぶつかっていった事実をそれぞれの立場からありのままに説明しているのだ。

やはり今、世界は大きく変化している。その中で少しずつ日本は失われた記憶を取り戻し、息子もこの新しい世界を生き抜いていってくれるものとぼくは今ささやかな希望を持っている。

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